2022年9月22日、日本政府は急速に進行する円安を受けて、1998年6月以来24年ぶりにドル売り円買い介入に踏み切りました。
アメリカ側FRBは高インフレ対策として政策金利を毎会合大幅に利上げ。
反対に日本銀行は金融緩和継続維持路線を変更しようとしないため、日本とアメリカで金利差が拡大。
低金利の円を売って、高金利のドルを買う動きが継続していました。
日銀が介入を行った水準
ドル円は、年初は114円ほどで推移していましたが、日米の金利差拡大を受けて、9か月で31円の上昇。
調整を挟まず一本調子で上昇し続けています。
ドル売り円買い為替介入を行った水準としては、145円台後半で年初来高値を更新している状況でした。
このままいくと150円に向けて円安が加速してしまう状況であったため、145円を防衛ラインとしたと思われます。

為替介入を行うことになった背景
2022年9月22日は、FOMCと日銀会合が重なる日でもありました。
この日、FRBは3会合連続の0.75%の大幅利上げを決定。
今後も引き締めを継続する旨の声明を出していました。
対する日銀は、金融緩和を継続、金利は据え置きでYCC(イールドカーブコントロール)の水準も変更なしでした。
日銀の緩和姿勢が確認されたことで、安心して円を売りやすかったという背景が出来上がっていたわけです。
この状況下でドル円は145円の大台を突破。
東京市場がクローズして日銀の介入もしにくい時間に入ってくるとさらに円安は加速し145.9円をつけるところまで上昇していました。

為替介入の効果
9/22(木)の東京市場では、日銀の緩和決定で一気に145円を突破していました。
しかし、数分後には1円以上の急落に見舞われます。
為替介入が行われたのではとうわさが広がりましたが、ここはすぐに収束。
東京市場が終わって、15:30黒田日銀総裁の会見が始まります。
ここは定番の強力な緩和維持継続宣言。
これで円安も容認ととらえられ、安心して円を売る環境が整い、145.9円まで上昇しました。
この間、政府より(為替介入の)準備があると、お決まりの発言がありましたが、効果はなく、17:00に為替介入に踏み込んだわけです。
介入の効果としては145.9から140.6円まで円高が進行。
45分かけて、おおよそ5円の介入インパクトとなりました。

今後の展開
為替介入は一定の効果がありましたが、金利差が開いている状況には変わりません。
しかし、24時間いつでも介入できるという発言もありましたので、NY時間などでも実施するのかもしれませんね。
円が売られやすい状況が続いています。
為替介入がしにくいような状況となった場合、見透かされて145円超え、さらに高値更新もありえるかと思われます。
しかし、平常時は145円が防衛ラインとなったことで、その付近の水準ではロングポジションは持ちづらく、上昇しにくいでしょう。
24時間いつでも介入できるという発言もありましたので、NY時間などでも実施するのかもしれませんね。